FBで "影響を受けた洋楽1曲バトン"。一日1曲、洋楽から7曲選曲し、毎日1人にバトンを回す企画が回ってきた。こんなのナンセンスなんていうミュージシャンもいたが、アルバムじゃなくて1曲、しかも7曲っていうのが絞りづらくて面白そうなのでやってみた。
1日目:
僕の洋楽への入り口は、中学生の時に聴いた、『この熱い魂を伝えたいんや/上田正樹&サウス・トゥ・サウス』と「憂歌団」の初めの4枚のアルバム。
基本ルーツを知らないと嫌な性格なので、その後、前者からSoul→R&B→P-Funk→Funk、後者からCountry Blues→Chicago Blues→Modern Bluesとブラックミュージック街道まっしぐらで聴くようになった。
で、1日目は、"Try a little tenderness / Otis Redding"
この曲は、中学時代に感動してその後、'85 LMC 8・8 Rock Fes. in Osakaに、「Money Makers」というバンドで出演し、"ベストボーカリスト賞"を受賞した時に歌った、思い出深い曲でもある。因みに、クラーレンス・カーターの"Snatching it back"も歌ったが、当時はこれがFame録音だったことなど知らず、後に解るのもまた面白い。
You Tubeには色んなバージョンがありますが、'65のバックもカッコいいLive versionで、"Try a little tenderness"をどうぞ‼
https://www.youtube.com/watch?v=X6BZ0wOs7QA
2日目:
僕が高校から大学にかけての時代、Soulのルーツを知りたくてGospelに興味を持ち始めた1980年前後。その頃は、もちろん日本にゴスペルブームもまだ来ておらず、なかなかアルバムも見つるのが大変だった。その入り口となった曲。
"A change is gonna come / Sam Cook"
その後10年程経って、また面白いことに、1992年のスパイク・リー監督、デンゼル・ワシントン主演の映画『マルコムX』で偶然にも使用されていた。この映画は、大好きでVHSもDVDも持っている。
教団(ブラック・モスラム)を脱退したマルコムが、自分でも教団から狙われてると知りつつ、最後となってしまう演説に向かう途中に、この曲が流れる。その時、僕は全身の毛穴が開くような感覚と深い感動を覚えたことは、今でも忘れない。
Malcolm X (映画):
https://www.youtube.com/watch?v=uvZ_lrmhSuU
Malcolm X (本人):
https://www.youtube.com/watch?v=BopwaedExKo
3日目:
僕は、1990年前後に洋楽のカバーバンドの"Yellow contemporary"に、ボーカルで参加していた。当時は、フュージョンが全盛期で、特に楽器を演奏する人達は、こぞって16ビートを好み、チョッパーやらニュージャックスイングやらメロー等の言葉がよく使われていた。そんな中で、やっぱり"ドSoul"が大好きだった僕は、Soulの題材で、演奏は時代にマッチした洗練されたGroovyな曲を色々探していて、当時David Sanbornがそのような曲をよく取り上げていた。
で、3日目は、当時のバンド"Yellow
contemporary"の定番曲
"Love and Happiness"
最初に聴いたのは、David Sanbornグループの超敏腕メンバー(David Sanborn - Sax, Marcus Miller - B, Don Grolnick - Key, Hiram Bullock - G, Buddy Williams - Dr)に、AWBの Hamish Stuart がVo.に加わった演奏でこれもいいのだが、当時ご本家Al Greenの演奏を聴き直して、改めて感動したが、このノリは絶対に出せないと思った。
Al Green:
https://www.youtube.com/watch?v=mtrR8J-ZdBo
David Sanborn
https://www.youtube.com/watch?v=AAT8TgTtZVI
ついでに!
Papa was a
rolling stone covered by Yellow contemporary
https://www.youtube.com/watch?v=d4-b5F4UTRs
4日目:
僕が1990年後半~2000年初めにかけて組んでいたバンドが、"Yellow contemporary" のギターを担当していた小松くんがリーダーを務めていた"Zazzaby"。
当時どっちのバンドでも演奏していたような気がする、今日の洋楽1曲は、
"Cold Sweat / James Brown"
この曲は、JBの中でも、時代により色んなバージョンがあり、ゴージャスでノリノリで演芸っぽい感じもカッコいいんだけど、今は、発売当初のややテンポを落とした、ちょっとカスカスな感じで、メンメンと続くところが、好きかな❢
なかなか、このノリは出せないので、どうしてもテンポを上げて誤魔化してしまう。僕らは、超アップテンポから始まって、途中でテンポを半分位に落としたりして演奏していたけど、やっぱり本家にはほど遠かったなあ。
1967:
https://www.youtube.com/watch?v=8bztE5IbQOo
Japan tour 1986:
https://www.youtube.com/watch?v=4P25sQo48fc
ついでに!
Pump it up covered by Zazzaby
https://www.youtube.com/watch?v=RA9ChCjWaYQ
5日目:
僕は、Soulの中でもSouthern Soulが大好きで、艶と粘りのあるボーカルのジェームス・カーが大好きで、彼が歌う"Dark end of the street"がお気に入りだった。ある日、行きつけのNOLA料理とライブバーの店"gris-gris"に行き、『Moments from this theatre /
Dan Penn and Spooner Oldham (1999)』のCDを紹介され、それを聴いてぶっ飛んだ!
「なんだ、この空気感といなたさは!?」
ダン・ペンの芳醇な声とシンプルな生ギター、スプーナー・オールダムの音数を控えたアーシーなウーリッツァーとユーモラスとも感じる絶妙なコーラスは、不要なものをそぎ落とした、いわゆる「引き算の美学」だった。素材のもつ本来の良さと力強さが自然に心に沁み入り、包み込まれる。僕は、この新鮮な感覚を、その時「粋」と感じた。「音と音との隙間」、小説でいう「行間」の部分を楽しむ、そんな『Moments from this theatre』は、僕にとって新しい方向を示す、まさにバイブルになった。その後、このダン・ペンが"Dark end of the street"の作者だと知り、納得した。今まで、「Black
is No.1!」と思い、ブラックミュージックのカバー曲を中心に歌ってきたが、この頃から、それが少しずつ脂っこく感じ、風通しの良さも求めるようになっていた。"Groove"から"Laid Back"へと変化するようになったのだ。
その後は、現在まで"Swamp Rock"まっしぐら!
で、5日目は、
"Dark end of the street / James Carr"
https://www.youtube.com/watch?v=HC3AXQ8dPJM
和訳付き:
https://www.youtube.com/watch?v=Q1ItoACK-Jo
Dan Penn and Spooner Oldham:
https://www.youtube.com/watch?v=vOgdgX5IuC4
6日目:
『Moments from this theatre / Dan Penn
and Spooner Oldham (1999)』をきっかけにスワンプロックの道をまっしぐらとなった僕ですが、2008年に楽器屋さんの前を通りがかった時に、1本のアコースティックギターが目に留まりました。それが「K.YAIRI YF-018 B custom」、オールマホガニーの小ぶりなギター。一応高校の頃は、"内田勘太郎"のギターに憧れチャキのギターを買い、ジャズギタリストも好きで色々聴いてエレキも弾いていましたが、自分に才能が無いことに気付き、ボーカルに転向しました。しかし、このギターに一目惚れして購入し、何か「弾き語りやったら!?」と言われている様な気がしました。
その時に、頭にまず浮かんだ曲が、"Big City / Ry Cooder"。この曲は、PIONEER Lonesome Carboy のCMソングで、『The Slide Area / Ry Cooder(1982)』の日本版LPにのみ、ボーナストラックとして入っているB面最後の曲。
僕が長年もっていたギター弾き語りのイメージは将にこれで、学生の頃のように、可愛いヤイリギターちゃんを一日中弾いて練習していたことを思い出します。
そして、2009年遂に、遅咲きのギター弾き語り"アサキチ"として、洋楽カバーを中心に歌い、デビューすることになりました。
ということで、6曲目は、僕の弾き語りの入口となった曲をお聴きください。
"Big City / Ry Cooder"
https://www.youtube.com/watch?v=ueKLSLyMJoA
それから10年余り、今年は原点回帰して、弾き語りの方も少しずつやっていこうかと思っています。
7日目:
7曲だけとなると、やっぱり後ろ髪をひかれる思いがあるが、そんな未練がましいのもまたいいかな。
スワンプロックの名曲に関しては、FM OH!"アサキチのぬかるみアワー Take you to the SWAMP!"やこのHPの厳選100CDでも、たっぷり紹介したので割愛します。
「Black is No.1!」だった僕の目をCountryに少しだけ向けさせてくれたCDが、SoulとCountryの有名ミュージシャン達がコラボした『Rhythm, Country and Blues / Various (1994)』。その後Countryに少し興味を持ち始めた頃に出会ったのが、"Dan Hicks"御大"
生前にライブを観られなかったのが、本当に残念です。
全曲好きなんで、特にこの1曲というのが選べないから、この企画の趣旨からは外れるかもしれないんだけど、兎に角、これでいっときましょう!
"By Hook Or By Cook / Dan Hicks & his Hot
Licks" (1972)
https://www.youtube.com/watch?v=hBGeQ0zSifc
いやぁ~、もうなんちゅうか~、ネオカントリーサイケ中華、ダサさの美の決定版、笑いと音楽の融合の究極形、唯一無二の存在感、超長~カッコいい、将に神って感じ。
NOLA系を入れられなかったのが悔やまれます。
最後に、ファンの方からは、この企画で色んな曲を知ることが出来て自分の世界が広がったというメールを頂き、感謝すると同時に、ナンセンスな企画でなくてよかったと思いました。